印刷業C社 技術部
工場の生産機の改良増設で、
VOC(揮発性有機化合物)が含まれる排気ガスが大気汚染防止法の規制対象に…
42ヵ月でコスト回収?
画期的な排ガス処理装置が見つかった!その全容とは
解決
解決のポイント
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VOCを含む排ガスの処理装置であるGASTAKに使われている球状活性炭「BAC」は、流動性や耐摩耗性に優れ、吸着能力が高く、高強度・高耐久性という点でも優れている
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吸着効率が高いので、低濃度までVOCを吸着除去でき、大気汚染防止法の規制値をクリアすることが可能である
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流動床吸着方式のため活性炭の蓄熱が少なく、可燃性VOCに対しても安全に回収できる
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活性炭再生装置を付帯することで活性炭の賦活再生が可能となり、活性炭のランニングコストをセーブできる
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約95%のVOCを回収し、回収溶剤を再利用することでランニングコストのセーブにつなげられる
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コストシミュレーションをしたところ、42ヵ月(約3.5年)でコスト回収ができることが判明した
VOCを回収して、クリーンなガスだけを排出。そのうえ回収溶剤を再利用してコストセーブに!
M氏はさらに広範囲に情報収集を進め、その中から「GASTAK®(ガスタック)」という、「排ガスの浄化」と「VOCの回収」を実現した、画期的な排ガス処理装置の情報を見つけます。興味を持ったM氏は、クレハのグループ会社で、ソリューションを提供しているクレハ環境に問い合わせてみました。対応してくれた担当者の説明に、今の自社の課題解決にぴったりだと直感しました。
GASTAKで使われている石油ピッチの球状活性炭「BAC」は、耐摩耗性や流動性に優れ、吸着能力が高く、高強度・高耐久性という点でも優れた特徴があります。また、繰り返し使えるうえに、その効果が長く持続することから、ランニングコストをセーブできるのです。さらに他の装置とは違い活性炭が吸着塔と脱着塔を移動しながら吸着・脱着を繰り返すため、効率よく純度の高いVOCの液化回収も可能でした(※)。
(※)「繰り返し使える」、「その効果が長く持続する」、「効率よく純度の高いVOCの液化回収」という点については、吸着・脱着の対象となるVOC排ガスの具体的な種類・濃度等によります。
「流動床吸着方式を採用していて、吸着塔では球状の活性炭が多段の流動層を形成してVOCの吸着除去を連続して行っています。脱着塔では活性炭を間接加熱してVOCを脱着し、脱着されたVOCは冷却液化して回収しています。そのため、浄化されたクリーンなガスだけが大気中に排出され、大気汚染防止法の規制値をクリアします。さらに、燃焼方式の処理と比べて、CO2排出が少なく環境負荷低減にも大きく貢献できると感じました。」(M氏)
そのうえ、約95%のVOCを液化回収できるため、これらを蒸留・精製することで、さらに純度の高い回収溶剤として再利用を行うことができ、この部分でもランニングコストのセーブにつなげることができるのです。
そこで、現状のVOC排出量をもとにコストシミュレーションをしたところ、42ヵ月(約3.5年)でコスト回収ができることもわかり、M氏は強い手ごたえを感じました。
検討の結果、上層部にもこれらの情報を報告し、GASTAKの導入が決定しました。
導入して約1年が経過。大気汚染防止法の規制対応の問題は見事に解決し、VOCの回収状況も良好に推移しています。課題であったコストについても、回収計画は順調に推移している状況です。