クレハのこだわり

クレハは、独創的な製品を数多く創出している技術開発型企業。
1944年の創業以来、自社技術にこだわり、モノづくりを続けています。

自社技術へのこだわり

ナケレバ、ツクレバ。

どこにも無ければ、創ればいい。
「ナケレバ、ツクレバ。」
それがクレハのこだわり、それがクレハの開発精神。

1944年の創業以来、当社は自社技術にこだわり、モノづくりを続けてきました。
「有機合成技術」「高分子技術」「炭素制御技術」「評価技術」「プロセスエンジニアリング技術」を駆使して、他社が行わない分野で独自の開発を進めてきました。

独自に開発したモノは、時に形を変え、役割を変え、人々の暮らしの中で息づいていく。
「どこにも無ければ、創ればいい」
世の中が変わっても、その精神は変わらないのです。

塩化ビニリデンの開発

戦後の荒廃の中、クレハではか性ソーダ事業が活況を呈していました。
塩水を電気分解してか性ソーダを生産しますが、その際に副生物として塩素ができます。か性ソーダの生産が増えれば増えるほど、併産される塩素の量も増加します。塩素を有効利用する術はないものか?ということで、開発を始めたのが塩化ビニリデンです。
その頃、既に塩化ビニリデンを開発していた米国の化学メーカーが、日本での技術提携先を探していました。クレハも手をあげましたが、結局、パートナーとして選ばれることはなかったのです。

「それならば、自分たちでやろう!」
そうして、研究に次ぐ研究が重ねられました。

クレハロン
クレハロン

ある日、実験の過程で、分離状態の塩化ビニリデンモノマーを三角フラスコに入れたまま机の上に置き忘れるという事件が起こりました。塩化ビニリデンモノマーは、放置すると酸素と反応してホスゲンを発生させ、さらに爆発性のガスをつくるので、実験が終わるとただちに処分することになっていましたから、通常ではありえない不注意でした。
ところが、フラスコの中の塩化ビニリデンモノマーを見てみると、見事に懸濁重合していたのです。この偶然のでき事から塩化ビニリデンの生産技術が確立されたのです。
自社技術で開発した塩化ビニリデンは<クレハロン>とい名づけられ、本格的に市場獲得に乗り出しました。

技術者が総力を結集して新しい用途開発を開始

当時のクレハロン漁網カタログ
当時のクレハロン漁網カタログ

<クレハロン>の研究開発に着手した当時は、世界的にみても、まだ合成繊維の黎明期でした。当社も繊維用途の研究開発を進めていましたが、その過程でこの樹脂が衣料用には適してないことが判りました。
<クレハロン>の特長が活かせる繊維は何だろうと思案する中で、行きついたのが、定置網用の漁網でした。漁業関係者からは<クレハロン繊維>は従来の綿・麻に比べ、比重が重いので水中に早く沈み、さらに吸水性がないので容易に引き上げられる」と上々の評価をもらい、次第に市場にも浸透していきました。しかしながら、爆発的な販売にまでは繋がりませんでした。着実に市場に浸透するも、<クレハロン>の優れた耐久性が取り替え頻度の低下につながり、生産・販売の両面で苦境に陥ってしまったのです。

技術者たちは総力を結集して<クレハロン>の新しい用途を開拓しました。
繊維がダメならフィルムではどうか・・・
「吸水性が低く、湿気の侵入を防ぐ。そして空気・ガスを通さない。」これが<クレハロンフィルム>の特徴。
1955年、これらの特性が最大限に生かせる「食品包装材」としての開発に取り組んだのです。
良いフィルムを生産するにあたり、まず着手したことが優れた押出機を開発すること。
また同時に原料樹脂の配合や運転条件の設定にも心血を注ぎました。
良いフィルムを作るために、押出機を作ってしまうという発想。これがクレハの面白いところなのです。

魚肉ソーセージのオレンジ色のフィルムは<クレハロン>のヒット作。

魚肉ソーセージの起源は1930年代まで遡るとされていますが、急速な成長が始まったのは戦後の1953年頃からです。当時の魚肉ソーセージは、定量の魚肉をケーシングに充填し、端を紐で強く縛るという方法で生産されていました。しかし、これでは隙間から空気や水が入ってしまいます。クレハは思い切って発想を変え、ソーセージ生産の隘路となっていた結紮作業の機械化に取り組みました。結紮工程の改革でソーセージの生産性は飛躍的に向上し、結果、<クレハロンフィルム>の市場開拓が大きく前進したのです。

  • 魚肉の充填作業
    魚肉の充填作業
  • 自動充填紮機
    自動充填紮機

食品包材のパイオニアとして

酸素と水蒸気を通しにくく、熱にも強い塩化ビニリデン樹脂<クレハロン>。
食品包装材としては抜群の性能を発揮します。

1960年7月には、塩化ビニリデン樹脂を原料とした日本初の家庭用ラップ<クレラップ>が。
1970年代からは、他の樹脂と組み合せて製膜する多層のフィルムを開発し、畜肉やハム、チーズなど更に食品包装材料としての領域が広がりました。
2000年には世界初のクリップレスソーセージ包装を開発。今までの金属製のクリップから、塩化ビニリデン樹脂のテープを使用した画期的な製品です。

塩素の有効利用から独自技術で開発した塩化ビニリデン樹脂<クレハロン>。
<クレハロンフィルム>は、今では世界に3ヶ所の製造拠点と9カ所の販売拠点を有し、50を超える国々で、食品保存を支えています。
まさに “クレハのこだわり” が詰まった製品なのです。