事業を通じた環境や社会課題への貢献

クレハグループは、化学をベースとした製品・サービスを通じて、「カーボンニュートラル/エネルギー供給への貢献」「食料の安定生産・供給への貢献」「活き活きとした生活への貢献」「情報社会の発展への貢献」など、社会課題の解決に貢献しています。

カーボンニュートラル/エネルギー供給への貢献

「KFポリマー」(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))

リチウムイオン電池用バインダーを通じたCO2排出量削減への貢献

エネルギーをみんなに そしてクリーンに産業と技術革新の基盤をつくろう

社会背景

カーボンニュートラルや脱炭素社会を目指す動きが本格化し、各国の環境規制が強化されています。
欧州委員会は2035年以降の欧州連合(EU)内におけるすべての新車販売を原則CO2排出ゼロ車とする目標を設定し、米国は2032年までに新車販売に占める電気自動車の比率を1/3以上とする目標を設定しています。また、中国も2035年をめどにすべての新車販売を環境対応車とすることを発表しています。
このような背景から、世界の自動車販売市場では、ガソリンや軽油を使う自動車から電気自動車(EV)などの環境対応車へのシフトが活発化しています。

提供する社会価値

電気自動車へのシフトを進めるためのキーテクノロジーは、車載用電池です。リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、充放電の繰り返しによる劣化が小さいことから、現在、ほとんどの電気自動車に搭載されています。リチウムイオン電池の信頼性の向上、走行距離を伸ばす高容量・高出力化、高速充電、電池コストの低減、充電設備の整備などの課題の解決が、現在、強く求められています。当社のKFポリマーは、活物質と集電箔への高い接着性、広い電位領域での電気的安定性とリチウムイオンの高い透過性を示し、リチウムイオン電池用バインダーとして求められるさまざまな性能を満たしているため、長期信頼性が求められる車載用のリチウムイオン電池に広く使用されています。

成長戦略

リチウムイオン電池バインダーの先駆者として、三元系正極活物質、リン酸鉄系活物質(LFP)向けのバインダー開発を積極的に進めています。また、車載用リチウムイオン電池の需要増加に応えるため、生産能力を増強する計画で新工場の建設を進めています。同時に、生産効率向上によるコスト削減と環境負荷低減にも努めていきます。
さらに、時代のニーズを先取りし、全固体電池などの次世代車載用電池への対応も積極的に進めていきます。

食料の安定生産・供給への貢献

アグロ製品

農薬を通じた作物の生産性向上への貢献

飢餓をゼロつくる責任 つかう責任
農薬を通じた作物の生産性向上への貢献 イメージ1
農薬を通じた作物の生産性向上への貢献 イメージ2

社会背景

国連人口基金(UNFPA)の「世界人口白書2023」によると、2022年11月、世界人口は初めて80億人を突破しました。その世界人口は、2050年には97億人に達し、その人口増加の大部分が発展途上国で生じると予想されています(国際連合経済社会局「世界都市人口予測2019年改訂版」より)。世界人口の増加にともない食糧需要が拡大する中、限られた農地を有効活用し、農業生産の安定的かつ持続的な増加を支えるための生産資材として、農薬は重要な役割を果たしてきました。

提供する社会価値

クレハでは、作る人、食する人、そして生態系、これら3つの共生を目指し、環境を守りながら、農業の生産性を高める農薬の研究開発に注力しています。少ない薬量で卓越した効果を発現し、また環境への負荷も少ないクレハの殺菌剤は、世界の農業の生産性向上に大きく貢献しています。
メトコナゾールは麦類やトウモロコシの重要病害に卓効を示します。1994年にフランスで殺菌剤として登録された後、登録国を拡大し、現在、欧州、北米、南米を中心に、麦類、トウモロコシ、ナタネ、ダイズなどの殺菌剤として世界40か国以上で使用されています。
イプコナゾールは、播種前の種子の消毒に用いる「種子消毒剤」として用いられています。種子伝染性や土壌伝染性の病害に対し、低薬量で高い防除効果を発揮します。日本国内では1994年の上市以降、水稲の種子消毒剤分野で高いシェアを獲得しています。海外では、トウモロコシ、麦類、ダイズなどの種子消毒剤として、北米、中南米、アジアを中心に販売が行なわれています。

成長戦略

世界人口の増加にともなう食糧需要が拡大する中、農薬のニーズはますます高まっており、今後も拡大する見込みです。
また、種子消毒は環境負荷の少ない処理方法として注目されており、海外市場での伸長が期待されています。
既存の農薬に加えて、生産者・消費者・環境への負荷が少なくなるよう配慮された農薬など、持続可能な農業と食料の安定供給に貢献する新たな商品の開発に取り組んでいきます。

活き活きとした生活への貢献

家庭用品

食事を美味しく、家事を快適に

飢餓をゼロジェンダー平等を実現しよう
食事を美味しく、家事を快適に イメージ1
食事を美味しく、家事を快適に イメージ2

社会背景

世界の家族のかたちは、時代とともに変化をし続けています。日本においては、共働き世帯の割合が年々右肩上がりとなり、現在一般世帯の3分の2が共働き世帯と言われています。共働き世帯の増加に加えて、少子高齢化、核家族化などの影響もあり、家事を合理化して家族との時間を充実させたいと考える人が多くなるなど、家事との向き合い方もさまざまです。また、ライフスタイルの変化とともに、ご家庭のキッチンシーンも、多様化しています。

提供する社会価値

クレハは、活き活きとした生活への貢献を形として創造していくために、「暮らしをもっと楽しく便利に心地よく」をコンセプトにお客様の家事をサポートしています。家庭用ラップのNEWクレラップや、キッチンまわりを楽しく便利にするキチントさんシリーズなど、家事と密接に関係する商品を通して、食事を美味しく、家事を快適にすることによって、家族の笑顔を増やします。

成長戦略

ライフスタイルの変化により、保存や調理に役立つ家庭用品の需要は多様化し、拡大していくと予想されます。家庭用品を使ってくださるお客様の声を大切に、新たな生活スタイルの提案により市場拡大を図っていきます。

情報社会の発展への貢献

3Dタッチパネル

3Dタッチパネルの普及により、私たちの生活をもっと便利に

産業と技術革新の基盤をつくろう
3Dタッチパネルの普及により、私たちの生活をもっと便利に イメージ1
3Dタッチパネルの普及により、私たちの生活をもっと便利に イメージ2

社会背景

IoTは“Internet of Things”の略で、「モノのインターネット」と訳される概念です。さまざまなシーンにおいてデータをやりとりするIoTは、家庭からオフィス、工場、医療現場など幅広く活用されていくことになると予測されています。
IoTを実現するために、デバイス、センサー、ネットワーク、アプリケーションなどの開発が進められています。

提供する社会価値

タッチパネルは、直感的に操作が可能なため、人とデバイスをつなぐインターフェースとして私たちの生活に欠かせないものになっています。現在主流となっている静電容量方式タッチパネルでは、指とタッチパネルの間に発生する微弱な静電容量の変化から位置を検出するため、水に濡れたタッチパネルや、手袋をはめた状態では操作ができません。当社は、英国スタートアップ企業であるCambridge Touch Technologies社と連携し、PVDFピエゾフィルムを用いた荷重検知が可能な3Dタッチパネルの開発を進めています。荷重で判定するという新たな機能によって、タッチパネルがさまざまな用途・環境で使用できるようになります。より多くの人が直感的に操作できるインターフェースとして提供することで、IoTをさまざまな人がさまざまなシーンで活用できるようになります。

成長戦略

当社の開発品である3Dタッチパネルは透明であるため画面の視認性に優れ、液晶や有機ELディスプレイの上に積層することができます。また、薄くて柔軟性があり、曲面などの形状に加工することが可能です。現在、PVDFピエゾフィルムの付加価値向上を目的に透明電極付きPVDFピエゾフィルムの開発を進めており、2024年度に量産化技術の確立を目指しています。ウェアラブル機器、スマートフォン、ノートPCなどさまざまな用途に向けて、複数の企業と連携して開発プロジェクトを進行中です。