中長期経営計画
2023年4月、当社は「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進してクレハグループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ新中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定しました。また、2024年5月、2025年度までの計画を見直した『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を策定しました。
クレハグループ企業理念・クレハビジョン
近年、世界は新型ウイルスによるパンデミックや、国家間の緊張と紛争により地政学的リスクが高まり、人・モノの移動制限、分断など、経済・社会環境に大きな変化が生じています。また地球環境の変化により気候変動や自然災害が増大し、カーボンニュートラルの実現やエネルギーおよび食糧の確保、水資源や生物多様性保全のための環境負荷低減など、持続可能な社会の実現に向けた企業の貢献が求められています。
当社は、こうした経営環境の変化にクレハグループ一体となり対応していくため、企業理念を「クレハグループ企業理念」に改訂し、また、当社が目指す方向性を明確にするため、「クレハビジョン」を新たに定めました。
経営方針
クレハビジョンを実現するために、3つの目標と3つの最重要施策を定めました。
目標
継続的な経済価値の向上
- 「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、グループの経営資源集中による経済価値の向上
- マーケットイン視点で既存商品の性能向上、バリューチェーン拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化
社会課題解決への貢献
- 自社による技術開発と外部技術の融合により、従来から社会貢献してきたクレハグループの商品・技術・サービスを進化させ、社会に提供する商品・技術・サービスを拡充
環境負荷低減への貢献
- 2050年度にカーボンニュートラルを目指す
- 循環型生産に適う生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減
最重要施策
技術立社の再興
- 新商品開発と環境負荷低減に資源を集中、差別化された商品の開発を加速
- 他社との協創・協業、M&A等を通じ、自社保有技術と外部技術の融合による、新規事業の創出と拡大
- 成長事業の生産体制構築と環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力の強化
経営基盤の強化
- サステナビリティ経営を推進する組織の強化
- グループの経営資源を有効活用した強固な連結事業基盤の構築
- 顧客や社会の潜在ニーズと研究開発-製造-営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営高度化を実現するDX戦略の推進
会社と社員の共生
- 「働きがい」と「ミッション」を調和・融合させ、社員と会社双方が成長
- コミュニケーションを充実し、挑戦する社員を登用
- 多様な価値観や立場の尊重、職場環境整備、障がい者が働く機会の積極的な提供
中長期経営計画
クレハグループ中長期経営計画
「未来創造への挑戦」(2023~2030年度)
2023年4月、クレハグループ企業理念とクレハビジョンの下、2030年度を見据えたクレハグループ中長期経営計画「未来創造への挑戦」がスタートしました。
当社グループは、もとより環境負荷低減に貢献する機能製品、食環境の改善に貢献する化学製品や樹脂製品等を展開していますが、今後はこれらの商品価値のさらなる向上に加え、CO2排出量の削減や、廃棄物のゼロエミッション等のさまざまな社会課題の解決に向けて、具体策を講じていきます。クレハグループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進してまいります。
2030年度定量目標※
売上収益 | 2,800億円 |
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営業利益 (%) |
350億円以上 12.5%以上 |
ROE | 9.0%以上 |
エネルギー起源のCO?排出量削減 | 2013年度比30%以上 |
廃棄物ゼロエミ率 | 1.5% |
※2030年度までの業績目標および重要業績評価指標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時に改めて開示します。
2025年度ローリングプラン
売上収益 | 1,850億円 |
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営業利益 (%) |
200億円以上 10.8%以上 |
ROE | 8.0%以上 |
PBR | 1.0倍以上 |
セグメント別業績目標
(億円)
2023年度 実績 |
2024年度 予想 |
2025年度 ローリングプラン |
2030年度 目標※ |
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売上収益 | 営業利益 | 売上収益 | 営業利益 | 売上収益 | 営業利益 | 売上収益 | 営業利益 | |
機能製品事業 | 645 | 48 | 700 | 130 | 810 | 100 | 1,700 | 230 |
化学製品事業 | 339 | 17 | 290 | 10 | 300 | 10 | 340 | 20 |
樹脂製品事業 | 473 | 82 | 400 | 52 | 440 | 70 | 420 | 75 |
建設・その他 | 322 | 39 | 310 | 21 | 300 | 20 | 340 | 25 |
全社調整 | ▲58 | |||||||
連結合計 | 1,780 | 128 | 1,700 | 140 | 1,850以上 | 200以上 | 2,800 | 350以上 |
※2030年度の業績目標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時に、改めて開示します。
機能製品事業 |
電池材料 :フッ化ビニリデン樹脂 機能性プラスチック:PPS樹脂、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品 炭素繊維、球状活性炭 |
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化学製品事業 |
農業・園芸用殺菌剤 慢性腎不全用剤 工業薬品:無機薬品、有機薬品 |
樹脂製品事業 |
家庭用品:「NEWクレラップ」、キチントさんシリーズ 塩化ビニリデンフィルム |
建設・その他 |
建設関連事業 環境事業、運送事業 |
環境負荷低減目標
-
CO2排出量削減
30%以上
(2013年度実績比)いわき事業所の主力電源である火力発電所において、燃料である石炭を一部CO2フリーな再生可能エネルギーへ転換するための技術の確立に向けて、検討を進めている。
-
廃棄物ゼロエミ率
1.5%
生産工程において発生する廃プラスチックなどの再資源化により、最終(埋立)処分量を削減する。さらなる廃棄物発生量の抑制、廃棄物の有価物化を目指し、生産プロセス改良を進めている。
株主還元目標
配当性向
将来の事業展開に向けて内部留保を充実させつつ、安定した株主配当を基本方針とし、目標配当性向を30%以上とする。但し、2025年度までの年間配当の下限額は1株当たり86.7円とする。
2024年度配当性向予想 45.3%
総還元性向
総還元性向は50%以上を目標とし、2025年度末までの3年間に400億円程度の自己株式を取得。
2024年度総還元性向予想 195.3%
研究開発・技術開発目標
環境・エネルギー
- フッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂等の機能樹脂の性能向上と環境負荷・製造コスト低減の技術開発
- 性能・コストで差別化したSiC繊維を市場投入し、航空宇宙産業分野へ参入
- カーボンニュートラル実現のための技術基盤の確立
ライフ
- 持続可能な農業と食料の安定供給に貢献する農薬の継続的な開発・上市
- 環境負荷低減に資する製品開発
情報通信
- 3Dタッチパネルの市場投入
- 半導体用途向けに差別化された技術の確立および市場参入