生物多様性への対応
GRI 101-4, GRI 101-5
生物多様性の保全は、気候変動対応と並び持続可能な社会の確立に向けてその重要性が高まっており、気候変動対応と一体的に取り組むべき地球環境課題としての認識が広まっています。生物多様性は人間活動により過去50年間の種の絶滅や生態系サービスの劣化により損失しています。クレハグループは、事業活動における自然資本への依存と影響を把握し、その先にある生物多様性の保全・再生に向けた取り組みの策定・推進を行っていきます。
自社事業と自然との依存・影響関係の把握
SASB RT-CH-140a.3
クレハグループと自然資本との関係を理解するため、直接操業を対象に、当社グループの主な事業領域である化学製品事業の自然に対する潜在的な依存と影響の把握を行いました。
依存と影響の把握にあたっては、GICS分類(Global Industry Classification Standard、世界産業分類基準)を使用し、自社の化学製品事業が該当する産業グループ(特殊化学品、基礎化学品)を選択し、分析ツールENCORE*を用いました。分析の結果、自然への依存関係については、自社の化学製品事業は「地下水」と「地表水」への依存度が高い可能性があること、また自然への影響については、自社の化学製品事業は「水利用」「陸域生態系利用」「GHG排出」「大気汚染」「水質汚染」「土壌汚染」「固形廃棄物」によって自然に影響を及ぼす可能性が高いことを把握しました。
- * Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposureの略。自然資本分野の国際金融業界団体と国連環境計画世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCSC)などが共同で開発したオンラインツール
直接操業拠点の水リスク分析
GRI 303-1, SASB RT-CH-140a.3
ENCOREで把握した水関連の依存(地下水、地表水)と影響(水利用)について、当社グループの主要化学製品の直接操業拠点を対象に水リスク分析を実施しました。水リスク分析ツールAqueduct*を用いて拠点別の水リスクを確認した結果、当社の直接操業拠点の一部では、季節変動性リスクや干ばつリスクなどの水リスクが高い可能性があることを把握しました。
- * 世界資源研究所(WRI:World Resources Institute)が公開する世界の水リスクを緯度・経度から評価するツール
今後、クレハグループではさらなる自然資本や生物多様性への影響・リスク評価を進め、2030年に向けた目標や対応策の策定を進めていきます。