化学物質管理・大気汚染防止・水使用と水質汚濁防止

化学物質管理

GRI 417-1

化学物質は私たちの生活を豊かにし、また、便利で快適な毎日の生活を維持するうえで欠かせないものとなっています。そのため、日常生活や事業活動において多くの化学物質が利用されています。一方で、化学物質の中には環境や人の健康に悪影響を及ぼすおそれがあるものも存在します。そうした悪影響をできるだけ小さくするために、化学物質管理に関する国際的な目標や戦略が策定され、それをベースに世界各国において化学物質法規制の整備が進められています。そしてそれは2015年に国連で採択された持続可能な開発目標(SDGs)へ反映されています。
クレハは、国内外の化学物質法規制を遵守して、製品を管理しています。また、製品が含有する化学物質の有害性などの情報を適切に収集し、国内外のお客様へ安全データシート(SDS:Safety Data Sheet) ・ラベルにより適切な情報提供を行うとともに、お客様からの製品含有化学物質に関する調査依頼にも適切に対応しています。さらに、必要に応じてそれらの情報を社内外に発信しています。
その他、製品ライフサイクルを通じて化学物質の法規制に適切に対応するために、各ステージに携わる関連部署への教育に継続的に取り組んでいます。

  • * 事業者が化学物質および化学物質を含んだ製品を他の事業者に譲渡・提供する際に交付する文書です。日本産業規格(JIS)の記載(化学品の危険有害性情報の伝達方法)に準拠して作成し、化学物質の使用者などに交付します。

取り組み事例

国内対応

クレハは、原料の入手から製品の製造・出荷までの一連の過程にわたって国内の法規制を遵守しています。また、製造における環境負荷の現状を国・県・地域の皆様に情報発信するなど、法に基づいた情報開示を推進しています。その他、品質および環境・労働安全衛生のマネジメントシステムを導入し、PDCAサイクルにより化学物質管理水準の向上にも努めています。

海外対応

クレハは、グローバルに事業活動を展開しています。海外での化学品の登録制度は、欧州のREACH規則をさきがけに、各国で整備が進んでいます。各国独自の制度・事情などにより複雑な状況となっていますが、当社のグローバル展開を下支えするため調査を実施し、輸出対象国への登録などを着実に実施しています。また、定期的に海外化学品法規関係の教育を実施し、法理解とコンプライアンス意識向上に努めています。

  • * Registration,Evaluation,Authorisation and Restriction of Chemicalsの略。EUにおける化学品の登録・評価・認可および制限に関する規則

化学物質の排出量削減

クレハは化学物質による環境負荷をできるだけ小さくするために、生産活動にともなって事業所から排出される化学物質の削減を継続的に進めています。また、化学物質排出把握管理促進法(PRTR制度)に従い、毎年、第一種指定化学物質の排出量(大気、公共水域、土壌、事業所内埋立)および移動量(下水道、事業所外)を把握して自社の状況を確認するとともに、公表しています。該当する各物質の排出量を削減するために、設備の改善検討や安定運転の継続を図るとともに、設備の増設や新設の際には、設計段階から環境負荷を抑制する方策を検討しています。

大気汚染防止

クレハグループでは、生産拠点からの大気排出が環境や地域社会へ与えうる影響を十分に認識し、これを最小限にすることを重要課題のひとつとして継続的に取り組んでいます。
クレハの主力生産拠点であるいわき事業所は、当社からの大気排出量の大半を占めています。このいわき事業所では、大気汚染防止法と福島県条例(福島県生活環境の保全等に関する条例/大気汚染防止法に基づく排出基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例)で定められた排出基準を遵守しています。
さらに、2022年2月にいわき市と公害防止協定を再締結し、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)およびばいじんなどの排出量について、より厳正な上限値を定めて、これらの値を十分に下回る運転を継続しています。

目標・実績

いわき市との公害防止協定に基づくばい煙発生施設の測定結果情報

水使用と水質汚濁防止

GRI 303-1, GRI 303-2, GRI 303-4, SASB RT-CH-140a.3

GRI 303-1, GRI 303-2, GRI 303-4,
SASB RT-CH-140a.3

水資源はクレハグループの生産活動に欠かせないものであるとともに、地球にとってかけがえのない資源です。その保全は世界的に重要な課題と認識しており、私たちも重要課題のひとつとして取り組んでいます。
クレハの主力生産拠点であるいわき事業所は、化学製品の製造プロセス(加熱、冷却、洗浄、副生成物除外等)で多くの水を使用しており、当社の水使用の大半を占めています。取水における水不足(水ストレス)のリスクは低いものの、使用後の排水処理設備から河川・海域へ排出される排水については、環境や地域社会へ与えうる影響を十分に認識し、各法規制に基づき適正管理に努めるとともに、環境負荷低減に取り組んでいます。

目標・実績

取り組み事例

いわき事業所の取り組み

いわき事業所では、水質汚濁防止法と福島県条例(福島県生活環境の保全等に関する条例/大気汚染防止法に基づく排出基準及び水質汚濁防止法に基づく排水基準を定める条例)で定められた排出基準を遵守しています。さらに、2022年2月にいわき市と公害防止協定を再締結し、化学的酸素要求量(COD)などについてより厳正な上限値を定め、これらの値を十分に下回る運転を継続しています。各製造現場では日々、排水処理設備の安定運転に努め、さらに設備の改善検討や水質監視機器の更新を随時実施するなど、排水管理を徹底し環境負荷の低減を図っています。

樹脂加工事業所の取り組み

霞ヶ浦流域にある樹脂加工事業所茨城地区では、水質汚濁防止法および茨城県霞ケ浦水質保全条例に定める排出基準に従い、毎月の水質検査を行うとともに、日常パトロールと排水pHの連続監視を行っています。柏原地区においても自主的な水質分析を行っていますが、2022年度には排水pHの連続監視も開始して適正な管理を継続しています。両地区ともに工業用水として地下水を揚水して使用しているため、工業用水法および地下水の採取に関わる県の条例に従って、適切な採取量管理も行っています。